胸腺腫について
GW前半の最終日、東京はよく晴れて気持ちが良い日でしたね(^-^)
このまま後半まで一気にお休みされる方もいれば、カレンダー通りに明日からまた3日間お仕事の方もいらっしゃるでしょう。お休みの方も連休が全く関係なくお仕事なさってる方も充実した楽しい一週間になりますように(^-^)
さて、連休の最中ですが今日は私が患ってしまった「胸腺腫」と言う病気について書いてみようと思います。今はまだ仕事もお休みしてるので結構暇なんです(笑)。暇な内にしっかりと書き留めておこうと決めました。以前から少し書いてはいたものの、心情の変化を中心に書いていたので、胸腺腫と言う病気についてあまり触れてなかった気がしたのです。
※文章は相変わらず長くなる予定ですし、中には重苦しい言葉が出て来たりもすると思います。病気ネタは読みたくないと言う方は読まずにスルーして下さい(笑)。
一昨年の敗血症から今まで、自分の為だけに付けていた日記を参考にして、この病気が発覚する前に感じていた身体の異変の頃に遡り、検査→腫瘍発見→治療方法の説明→手術→病理結果についてまでを書きます。(入院、手術に関しては3月に書いたブログで写真付きで一気に紹介してます。その部分と重複してしまう内容もありますがご了承下さい)
その前にまずは胸腺腫と言う病気について。私的に一番参考になったサイトは
国立がん研究センターのサイトでした→コチラ
そもそも胸腺に腫瘍が出来ると言う事自体とても稀のようなので、ネットでも情報が少ないように感じました。その中で一番分かりやすく説明されていたのが上記のサイト。その他にも同じ病気で闘病なさっていた方々のブログも読ませて頂きました。そのお陰で徐々に自分の病気について知ることが出来たのです。
症例が少ない病気ですので、私の体験で同じ病気で悩まれている方に少しでもお役に立てればと思います。
胸腺と言うのは胸骨の真裏に位置している臓器で、胸骨が邪魔をしてレントゲンではほとんど写らないそうです。腫瘍が出来ても初期の段階では無症状の事が多く、腫瘍が大きくなって来て、他の臓器を圧迫して息苦しくなったり、咳が続いたり、胸痛が出てからじゃないと発見しにくいとの事。たまたま人間ドックでCTを撮ったら胸腺腫瘍が見つかったと言う方がブログで一人だけいらっしゃいましたが、初期の小さな腫瘍の内に見つかったのは奇跡的だったと書いてありましたので、その方はとても幸運だったと思います。
胸腺腫は重症筋無力症と言う病気と深く関わりがあるそうで、この病気を発症してる方は胸腺腫を患っている確立が多いそうです。その場合、胸腺腫を手術で取り除くと重症筋無力症の症状が治まる方も多いそうです。しかし、中には胸腺腫を取り除いた後に突然発症する場合もあるとの事。現在私は血液検査では陰性。この病気についてはしばらく経過観察をして行く必要があると言う状況です。
先に私の胸腺腫の病理結果などを書いておきます。
「非浸潤性胸腺腫」 正岡病期分類Ⅰ期。B2>B3型胸腺腫。
腫瘍の大きさは8×6×2.5cm
2013年2月6日に国立国際医療研究センターで検査によって腫瘍発見して頂き、手術は2013年3月12日、虎の門病院、呼吸器外科、河野匡先生に胸腔鏡下手術で腫瘍、胸腺全てを摘出してもらいました。大成功の手術でした。
この手術の事についても書いていきます。
それではまずは一昨年前の記憶から遡ってみます。一昨年前の敗血症が今回の胸腺腫と関わっているかどうかは、はっきり分からないと言われてますが、私は無関係とは思えないので一昨年の事から書きます。
●2011年7月末に大阪出張中、高熱で倒れる。
大阪の救急病院では血液検査をしてもらえなかったため、充分な処置をしてもらえず、翌日東京に戻り、家の近くの総合病院へ。敗血症と診断され、重篤状態でそのまま入院。抗生剤が効き、1週間で熱が下がり退院。その翌週の血液検査とレントゲンで特に問題がないと言われたので仕事復帰。8月中旬、遠方のロケ先で高熱で倒れる。レントゲンで胸水が溜まっているのが見つかる。東京に戻り総合病院からセカンドオピニオンで国立国際医療研究センター病院へ。高熱が続き、呼吸困難、胸痛と関節痛が強く出ており、血液検査の結果CRP(炎症反応)がとても高く、胸水、心内膜炎、心不全を起こしているとの診断を受け、8月下旬から約2週間入院。それ以来かなり多くの検査を受けた。
それから2012年10月までの一年ちょっとの間、医療センターで循環器を中心に定期的に経過観察をしていた。たまに胸痛や関節痛、発熱があった時もあるが、血液検査には異常はなく、レントゲン、心電図、心エコーも問題なかったため、経過観察は去年の秋に終了した。
●2012年11月下旬
久しぶりに38℃以上の熱が出た日もあったが、風邪だろうと思い医療センターに行くほどの事もないと自己判断。近所の町医者で抗生剤と痛み止めを処方してもらう。その際、ほんの少し胸痛もあったが気にせず過ごす。病気とは関係はないが、久しぶりにギックリ腰になり、整体へ通う。2012年は仕事が異常に忙しかった、疲れた、とその時の日記に書いてあった。自己判断は危険だと後に悟る。
●2012年12月
熱もなく特にこれと言った症状もないので、12月恒例の忘年会に参加。久しぶりにお酒を沢山飲む機会が多くなり、二日酔いのせいか頸椎痛と肩こりが酷くなる。この頃からお酒を飲んだ翌日少しの胸痛はあったが、大した痛みではないので気にせず。カメラマンと言う職業柄、胸筋を使うので関節痛、頸椎痛は仕方ないと自分に言いきかせていた。
●2013年1月
撮影中に息切れが酷くなる事が多くなった。が、特に胸痛もなく熱が出る事もなかったので「太っているのが原因」と思い、必死にマシーンを使って腹筋を鍛える。その際に肋骨辺りが強く痛む事が何度かあったが「リンパの流れが悪いから」と、必死でマシーンとマッサージを続ける(笑)。中旬くらいにまたギックリ腰になる。いつもお世話になっている整体の先生に
「こんなに短期間にギックリ腰を何度も起こすのはおかしいから、もしかしたら内臓のどこかに問題があるかもしれないので、早く病院へ行った方がいいですよ」
と言われ、そろそろ病院へ行かないと・・・と思い始める。
●2013年2月6日
2月に入っても日々忙しくしていた。どことなく体調が悪いような・・・毎日だるさと関節痛を感じながらもだましだまし。5日の日に撮影後の打ち上げが楽しくてお酒をしこたま飲んだ。翌朝6日、激しい胸の痛みに襲われる。思い出したのは、2011年8月、北海道ロケの時に感じた胸の痛みに似ている・・・心不全を起こしているのかもしれない、と焦り、すぐ医療センターへ電話。緊急で検査をしてもらう。血液検査ではCRPが多少上がっている程度。しかしレントゲンで左肺の部分に明らかに異常な影が写り、そのまま造影CT、そこには大きな何かが写っていた・・・。緊急の検査と言うこともあり、専門分野のドクターがいなかった為、後日外来で来た時にMRIで更に詳しく調べることとなった。腫瘍がどうゆう物かが分からないので、炎症を起こしてる可能性が高いので消炎剤を飲んで安静にするようにと言われ、帰宅。
●2月7日
医療センターの先生がわざわざお電話を下さった。
ドクター「CTの結果、胸腺に腫瘍が見つかりました。温存出来る物ではないので、なるべくすぐに手術をした方が良いと言う話になっています」
私「そう言われても仕事がたてこんでまして。ちなみに手術して仕事復帰するのに2週間位で出来ませんかね?3月の仕事は休めないので」
ドクター「胸腺と言う場所に出来た腫瘍は胸骨を切って肋骨を外して手術を行うので、そんなに早く仕事復帰出来る事は有り得ません。今回は無理は出来ないと思って下さい」
退院後の1年半、私が何度か熱を出して体調が悪くなった時に「入院して少し休みますか?」と言ってくれていたドクターに対し、私は常に「大丈夫です、ちょっと休んだらすぐ復帰しないと。フリーの世界はすぐに仕事が無くなるので」と言い続けた。その私のわがままを仕方ないですねえと言いながらフォローしてくれて来たドクター。いつも優しいドクターが今日は厳しい口調だったので、これはただ事じゃないと、ようやく悟った。
早速ネットで調べて胸腺が臓器だと言うことを知る。、免疫を司り、白血球を作る。幼少期から成人までに発達する臓器で、それ以降はゆっくり退化していくのだとか。
胸腺の場所は先に書いた通り、腫瘍がレントゲンに写るにはだいぶ大きくなってからだと言うことを知る。中年になった私の胸腺はもうほとんど退化しているので、胸腺腫瘍と共に胸腺自体も全て取ってしまっても問題がないようだ。腫瘍の中身をざっくりと大きく分けると「胸腺腫」と「胸腺がん」の二つ。そしてどちらとも悪性腫瘍だと言う事。胸腺腫には数種類の型があり、悪性であってもゆっくりと進行して行く型が多い。胸腺がんは、進行が早い型の悪性腫瘍。こちらは遠隔転移の可能性もあり予後の経過も思わしくないと書かれていた。いずれにせよ悪性・・・開胸手術・・・
次の検査までの一週間は毎日泣いていた。
●2月14日、神経内科を受診。胸腺に腫瘍がある場合「無筋力症候群」を併発している事も多いとの事なので血液検査と問診を受ける。この病気は筋肉が疲れやすくなり、瞼が重くなる、物が二重に見えるようになり、肩や腕が上がらなくなる病気だ。今の時点ではまだこのような症状は出ていなかった。血液検査の結果は1週間後。後日、神経伝導速度検査を予約、PET検査と同日の予約にした。
その後、造影MRIを受ける、腫瘍の大きさと場所の確定をする為の検査。その後呼吸器外科のドクターから結果を聞く。
外科医「腫瘍が急激に大きくなっている事もあるので、悪いことから考えて行きますと、「胸腺がん」「浸潤性胸腺腫」「悪性リンパ腫」を疑っています。そして胸腺腫瘍は被膜と言う膜で覆われているので、生検せずに手術で全摘出してからその中身を病理検査に出すのが通常です。膜を破かず腫瘍の中身が外に出ないように病巣と臓器をしっかり取り切る事が重要なんです。ですので手術をしてみないと、どのタイプの胸腺腫なのか。胸腺がんなのか、どれだけ浸潤しているか分からないのです」
私「手術方法は開胸しか無理でしょうか?内視鏡手術の選択はないのでしょうか?」
外科医「当院は通常開胸手術で行ってます。その方が病巣全てをしっかり取り除くことが出来ると考えているので。ただ他の病院で胸腔鏡下手術をやっている先生もいますよ」
と、この流れで医療センターの先生から虎の門病院呼吸器外科のゴットハンド、河野匡先生を紹介してもらう事となった。河野先生はネットで検索すればすぐに沢山の手術症例や独自の術式など沢山出てくるので、縦隔腫瘍を胸腔鏡下手術でやってもらいたいと考えている方は、河野先生の事を調べてみると良いと思う。(※初診診察は紹介状がないと診てもらえないのでご注意を)虎の門病院
●2月22日、医療センターでPET検査。この後、神経伝導速度検査を受ける。ここで重症筋無力症の症状が出ているとその後の手術も厄介な事になるのだが、無事にクリア。まだ症状は出ていない。外科のドクターにPET検査の結果を聞き、後は河野先生にお任せしてみようと言う事で正式に紹介状を書いて頂いた。
●2月27日、虎の門病院の河野先生の外来は水曜日のみ。この日を外すと3月になってしまう。主人と一緒に朝早くから順番待ちをして河野先生と初対面。先生は検査結果を見て
「かなり大きいですね。ギリギリかもしれないですが胸腔鏡下手術でやってみましょう。手術は早い方がいいから3月12日で。3月11日に入院して翌日手術でどうですか?入院は5日間から1週間程度。手術時にどうしても開胸手術になる事も有り得るのでその際は2週間くらいの入院ですね」
話がとんとんと決まった。2月6日から毎日泣いていた日々から希望の光が見えた日だった。にしても入院期間が短いのがすごい・・・そんなに短くて済むって事は手術後は大した痛みもないと言う事?等と急に楽観的になる(笑)
その後、手術までは基本的には家で用意などをしながらのんびり過ごした。キャンセルした仕事の方々に謝りに出かけたり、残っている仕事をしたりしながら
3月11日に入院。
入院、検査、手術、退院までの事は写真付きでご覧下さい。http://m-oizumi.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-c020.html
3月14日に退院。3泊4日!
あまりに早過ぎて自分でも驚いた。その時の事は記憶がしっかり残っている内に書いた上記ブログの方がリアルで良いと思う。
退院後は自宅療養。術後から1週間はさすがに傷が痛むし肋間神経痛も酷い。息切れも激しかったので「ほんとうにこんなにすぐに退院して良かったのか?」と正直疑った時もある。しかし、病理結果が出る4月5日まで通院しなくても大丈夫と虎の門のドクターに言われたので家で痛み止めを飲みながら我慢我慢の毎日。すごく痛いのにほんとに大丈夫なの?傷口診てくれないの?傷口は確かに小さいけれど、内出血になっているし、ボンドで傷を塞いでいるけど、これって大丈夫!?
退院から2週間はそんな事ばかり考えていた。毎日痛くて辛いのに、やることもなくて暇だから桜を撮りに行こうと無理をしたり。
そしてようやく
●4月5日
久しぶりの虎の門病院。先生が病理の結果と今後の事について話して下さった。
病理結果は上記の通り、ステージⅠ。非浸潤性だった。手術前は「これだけ大きい腫瘍だと他の臓器に癒着していたり、もしくは浸潤してる可能性もあると思います」と言われていたのである程度覚悟はして行ったが、癒着もなく、浸潤もなく済んでいた。胸腺腫としては最良の結果だった。浸潤していていたらその後の治療で放射線治療か化学療法を使う事となっていたのだが、追加治療はなく、今後は定期的にCTで検査をして長期に渡って経過観察をしていく、と言う結果となった。先生曰く
「今回浸潤はしていませんでしたが、胸腺腫と言うのは全く再発がないとも言い切れない病気なので長い目で診て行きましょうね。肋間神経痛、胸の周りの神経痛は徐々におさまって行くとは思いますが、梅雨時や低気圧が近付くとどうしても痛くなると思います。半年から一年は痛みがあるかもしれないです」
との事。痛みとの付き合いは長くなるのは仕方ない。でも、こんなに早く元気になれたのだから本当にありがたい!今後も呼吸器外科の分野は虎の門病院にお世話になって行く事となった。重症筋無力症の検査や他の内科の検査等は引き続き医療センターに診て頂くこととなり、現在は定期的に医療センターに通っている状況である。
-------------------------------------
とまあ、なが~い報告書みたいになってしまいましたが、これが今回の流れでした。
最後まで読んで下さった方、ありがとうございますm(__)m
術後から1ヶ月半が経過した現在、神経痛は雨の前には出るものの、胸痛はほとんど無くなって来ており、息切れも少しずつ良くなって来ています。
連休明けからは本格的に仕事も再開する予定です!
ほんとに短期間で色々な事が有りすぎた。
正直、疲れ果てました!!
また経過観察の結果などを報告したいと思いますが胸腺腫に関しては一区切りついた感じがします。今後どうゆう事が起こって行くかは分かりませんが、今は日々良くなって行く事を実感しながら頑張って行こうと思ってます。
これからもまだまだ色々あると思います。でもその度何とか乗り越えて行かます。
励まして支えてくれた人たちに感謝してます。
ありがとうございます!!!
大泉美佳
| 固定リンク
| コメント (22)
| トラックバック (0)